第44号

中音研ニュース 第44号  平成30年9月 (広報部)

 

去る6月8日(金)に、大淀町立大淀中学校で今年度の総会が開催されました。また、午前中の公開授業では、岡 実菜子先生による1年生を対象にした表現領域での研究授業が行われました。「曲想を感じ取り、いきいきと歌おう」という題材で、「Forever」を教材にされた授業でした。
歌詞や旋律からイメージを膨らませ、表現を工夫して歌えるように、全3時間の計画で授業を進められました。第1時に生徒たちを班に分けて、班ごとに相談させた内容を、第2、3時で発表しあい、さらに表現の工夫を全体で考えるという構成でした。楽曲の中盤から終わりにかけての部分では、ワークシートを配布して、6つの空欄にそれぞれの班で相談して強弱記号を入れて歌唱し、班同士で聴き合いました。強弱記号だけでなく、大切にしたい言葉や伝えたい気持ちなどを考えさせ、この楽曲で一番訴えたいところに気づかせるというねらいの授業でした。まとめの部分では、それを生かして全員で上のパート・下のパートを歌いそれを録音し、録音した両方のパートを併せて二部合唱になるようにして聴かせるというICTを効果的に使われた、私たちにとってもとても参考になる授業でした。また、最後には先生方も交えて、「Forever」の大合唱で終わりました。
その後の研究協議では、先生方の意見交換のあと、奈良県教育委員会学校教育課指導主事の辰巳 真弓先生に指導助言をしていただきました。そのお話の中で「生徒たちに、何を身に付けさせるか明確にすること」や「主体的・対話的な学び」が大切であることを教えていただきました。
午後からの研修では、「音楽に寄せる想い」という演題でマリンバ・打楽器奏者の大森 香奈さんによる演奏を聴かせていただき、素敵な時間を参加者のみなさんと共有することができました。


〈授業者の感想
「曲想を感じ取り、いきいきと歌おう」という題材で公開授業を行いました。表現の一つである強弱記号を考えさせ、後から作曲者の考えや思いも受けとめ歌唱するという時間でしたが、作曲者の思いを知った時に答え合わせのような展開になってしまいました。生徒たちの考えをより引き出せるような発問をするべきだったと思います。ICTを利用しましたが、できるだけ多くの研修に参加し、生徒たちの心の中に残る授業を行っていきたいです。本日はありがとうございました。
                                    (大淀中学校 岡 実菜子先生)

 

〈研究授業について〉
1・2年生男子の声変わりについて、私も普段すごく悩んでいることだったので、具体的な声かけや授業での指導の仕方について教えていただけて、大変参考になりました。
 強弱を考えさせたり、作曲者の意図を考えさせたりする授業は何度かしていますが、いつも自分の納得のいく授業はできていませんでした。今日の研究授業を見させていただいて、声かけや展開方法などヒントをたくさん得ることができました。
 音楽を学習することが「自分の人生を豊かに、幸せにしている」と意識させることが大切だと学びました。                                    (大三輪中学校 松井 良帆)

 入学して間もないこの時期に、表現方法を考えていくという授業で、お忙しい中準備等大変だったと思います。今回の授業は、1年生だけでなく、どの学年においても表現活動の中で大切な内容で、その基礎を見せていただき有り難かったです。日頃、なかなかここまで丁寧にできていないので、今後取り入れていけたらいいなと思いました。ありがとうございました。
(田原中学校 千竃 佑季)

 生徒らの歌声の美しさに感動しました。自身がみる生徒らへの発声方法の指導法を見直したいと思いました。                                  (王寺南中学校 杉山 遥)

 入学して2ヵ月ほどの子ども達と、岡先生との関係が「よい関係」だということが伝わるような授業でした。またICTを使われていて視覚的に子ども達に分かりやすい授業だったので私も挑戦したいと思います。若さあふれる元気な授業に感動しました。        (平城東中学校 井上 牧)

 たくさん学ぶことがありました。子ども達はとてものびのびと歌をうたっていて、強弱の表現も豊かにつけていて、とてもよかったなと思いました。ワークシートやICTの活用もまた参考にさせていただきたいと思いました。ありがとうございました。              (京西中学校 石橋 香奈)

〈「音鑑・冬の勉強会2017」報告会について〉
 音楽・社会や企画など、自分の発想にはなかったけれど、とても興味深い内容がこれからの授業に必要だと知って、より楽しみになりました。              (王寺南中学校 杉山 遥)

 ICTを活用された報告でわかりやすく、引き込まれました。
                        (平城東中学校 井上 牧)

 これからの音楽では社会とのかかわりが大切になるので、報告を聞き授業でも工夫していけるようにしたいです。                                (京西中学校 石橋 香奈)

 生活や社会とのかかわりを考えられる授業展開について、わかりやすく教えていただきありがとうございました。取り扱った教材等も提示され、またそれによりどんな力をつけられるか、どんな生徒が育つかということを教えていただき、私の学校でも少しずつ取り入れていけたらと思います。
              (大三輪中学校 松井 良帆)


〈研修会(あらかしホール)に参加して〉
 マリンバの演奏会は、今まで聴いたことがなく、とても楽しみにしていました。会場の大きさもマリンバの音に合った丁度よい場所で、小一時間でしたがとても癒されました。ありがとうございました。                                        (田原中学校 千竃 祐季)

 マリンバの音が鳴った瞬間から鳥肌が止まりませんでした。柔らかな木の音、力強い響きを体全体で感じとることができ、本当に聴かせていただけて良かったです。またマレットさばきも間近で見れて、吹奏楽部員にも伝えてあげたいと思います。プログラムの構成もご自身の経験と重ねられており、お話も素敵で勉強になることが多かったです。        (大三輪中学校 松井 良帆)

 マリンバの独奏を生で聴くことは初めてでした。4本のマレットで音域の変化を操作する技法と、音色や表現を巧みに奏でるお姿は並大抵な努力では表すことのできない音楽だと、肌で感じることのできる素晴らしい時間でした。子どもたちにも是非聴かせてあげたいです。                    
(平城東中学校 井上 牧)

 マリンバのとても美しい音色に心が癒されました。子供たちにもこのような演奏を聴かせてあげたいなあと思いました。                              (京西中学校 石橋 香奈)

 自らの経験や体験をお話することの大切さや、音楽を通して何を表現したいかなと、音楽の原点に立ち返らせていただきました。美しい音色に心洗われました。ありがとうございました。                  
(王寺南中学校 杉山 遥)


♪第25回奈良県鑑賞教育研修会、第11回近畿夏の勉強会♪
 去る8月23日(木)・24日(金)、今年度の夏ゼミは「鑑賞領域の指導と評価―総合芸術の学習」をテーマに、拓殖大学北海道短期大学より萬司(よろずつかさ)先生をお招きし、いかるがホールで行われました。今年度は30名の先生が参加し、1.5日開催となりました。
 1日目は、初めに新学習指導要領についてのご講義がありました。その中で、「現行のものと大きな変わりはなく、整理されただけであるが、現行のものをしっかり理解することが大事だ」と教えていただきました。例えば、現学習指導要領のB鑑賞の指導事項(1)のア、イ、ウそれぞれの「~理解する」の文言が、新学習指導要領ではB鑑賞の指導事項(1)のイに集約されていることなど具体例を示しながら、丁寧にご指導いただきました。
 続いて、歌劇「アイーダ」を題材に、オペラとは何か、鑑賞するためにどう取り扱うとよいのか、批評文を書かせるためのポイントなどを教えていただきました。そして、歌劇「カルメン」を題材に4幕ごとのグループ研修をしました。大曲ということもあり、どう見せるか、どこを見せるか等、それぞれのグループで教材研究をしました。
 2日目は、指導案作成、グループ研修の発表をしました。萬先生からは歌劇「カルメン」の取り扱いの難しさも含めて、「カルメン組曲」ではどうなるか…という新しい提案をいただきました。鑑賞領域の学習は、知覚し感受し書き表す学習活動を切り離さずに行うことが大切である、ということを教えていただき、深い研修となりました。